パッチテストとは、アレルギー性接触皮膚炎や金属アレルギーなどの原因物質を特定するための検査です。パッチテストでは、原因物質と推測される物質を皮膚に貼り付け、アレルギー反応が起こるかどうかを観察します。パッチテストは、遅延型（Ⅳ型）アレルギー反応と呼ばれるグループに分類されるアレルギー疾患の診断に有効です。
パッチテストの手順は、以下のようになります。
– ヘアカラーなどの製品の使用説明書に従って、第1剤と第2剤を混ぜてテスト液を作ります。
– テスト液を綿棒にとり、腕の内側に10円硬貨大にうすく塗って、自然乾燥させます。
– テスト液を塗ってから30分後と48時間後に、皮膚の状態を観察します。
– テスト液を塗った部分に発疹、発赤、かゆみ、水疱、刺激などの異常があれば、アレルギー反応が起こっていると判断します。
– パッチテスト中は、入浴やシャワーを控えたり、テスト部位をこすったりしないように注意します。
パッチテストは毎回必ず行う必要があります。過去に問題なく使用してきた製品でも、体質の変化や製品の成分変更などでアレルギー反応が起こる可能性があります。パッチテストで異常があった場合は、その製品を使用しないでください。
パッチテストの費用は、検査に使用する試薬やパネルの種類によって異なりますが、一般的には健康保険が適用されます。
健康保険が適用される場合、検査料金は約5800円（3割負担）です。ただし、初診料や再診料などは別途かかりますので、注意が必要です。
また、負担割合や年齢によっても費用は変わります。例えば、中学生以下の場合は無料です。
1割負担の場合は約1940円、2割負担の場合は約3880円となります。
アレルギー反応とは、体の中に入ってきた異物（アレルゲン）に対して、免疫システムが過剰に反応することです。アレルギー反応には、I型からIV型までの4種類があり、それぞれ異なるメカニズムで起こります。アレルギー反応の種類と代表的な症状は以下の通りです。
– I型反応：IgE抗体とアレルゲンが結合することで、ヒスタミンなどの物質が放出され、かゆみや発赤などの症状が起こります。この反応は即時型と呼ばれ、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、蕁麻疹などの病気に関係しています。
– II型反応：自分の細胞に抗体が結合することで、細胞が破壊される反応です。この反応は細胞障害型と呼ばれ、血液型が適合しない輸血による溶血性貧血や特発性血小板減少性紫斑病などの病気に関係しています。
– III型反応：抗原と抗体が結合して免疫複合体と呼ばれるものを作り、これが組織を障害する反応です。この反応は免疫複合体型と呼ばれ、全身性エリテマトーデスや関節リウマチなどの病気に関係しています。
– IV型反応：T細胞が主に関わる反応で、抗体は関与しません。抗原を記憶したT細胞がサイトカインと呼ばれる物質を放出することで、炎症を引き起こします。この反応は遅延型と呼ばれ、接触性皮膚炎や移植時の拒絶反応などの病気に関係しています。
アレルギー反応の種類や原因によって、治療法や予防法も異なります。アレルギーの疑いがある場合は、アレルギー科や関連する診療科を受診しましょう。